– 准教授紹介

准教授 佐藤 桂 Kei Satoh

プロフィール / 「researchmap 基本情報」https://researchmap.jp/auto

 大学では物質工学/材料工学を学んでいましたが,博士後期課程に進学してから本当に自分がしたいことがわからなくなり,子供のころから香水が好きだったことや,香りでなぜ何年も前のことを思い出すのか不思議だったことから香りの研究をしてみたいと思うようになりました.ただ,当時日本の大学で香りの研究をしているところはほとんどなく企業が中心となっていました.企業ではなくどこかの大学で研究をしたいと思い,手当たり次第にメールや手紙を送っていたところ,Leffingwell & AssociatesのDr.John Leffingwellが親切にも返事を下さり,ウィーン大学薬学部のGerhard Buchbauer教授が面白い研究をしているということを教えてくださいました.Buchabuer教授は,香りの研究分野の権威で,香りが脳や身体に及ぼす効果や香りの抗菌効果,さらにはウィーンのカフェの香りとはいったい何なのかなど,科学からオペラなどの文化まで非常に詳しい先生でした.ほぼ毎日、ウィーンで大切にされている食後の”Kaffepause”というコーヒータイムで香りの話やダンスの話などいろいろな話をしました。Buchbauer教授の下で3年間ポスドクとして研究をし,その後,P&G(Procter and Gamble, Belgium) で1年間消費者研究や香料の研究を行いました.

 消費者研究を行ううちによりヒトに興味を持つようになりましたが,日本ではBuchbauer教授のような研究をしている研究室がないことから,帰国後は東京農工大学で自動車の研究を主に行っていました.最初は専門用語も全くわからずとても不安でしたが永井正夫先生にたくさん教わり、また多くの学ぶ機会を頂戴しました。初心者が安全に車線変更をする方法の確立,高齢者の交通事故の低減を目指した高齢者の運転行動の解析,運転免許の返納に対する意識の調査,自動運転装置を搭載した自動車と歩行者とのコミュニケーション方法などの研究を行う傍ら,香りで居眠り運転を低減できるか,また渋滞中のイライラを低減させることができるかなども研究していました.農工大での研究グループの先生方にもお世話になり学生たちとも楽しい時間を過ごしました。

 至学館大学に異動してからは,香りだけではなく色彩や音楽,手触りなど,他の感覚にも研究範囲を広げ,健康やスポーツに関して研究を行っています.運転に関する研究も継続して行っています.スポーツのパフォーマンスを上げたい人,リフレッシュ方法を確立したい人・・まずは自分の身体や心に興味を持って,一緒に研究しましょう.

 なお,私は工業系大学の出身なのでスポーツは専門ではありませんが,学生時代は剣道部と室内管弦楽団(ヴァイオリン)に所属していました.ウィーンでは剣道と社交ダンスをしており,ベルギーでも剣道をしていましたが,首のヘルニアになってからはごくたまに素振りをするくらいです.

写真)ウィーン大学薬学部.本部からは離れていましたが,緑も多くきれいな大学でした.中はとても清潔で居心地のよいところでしたが,同じ研究室の学生は「見た目が刑務所みたいだ」と言っていました.